「ファッションは商いであって芸術ではない」by カール・ラガーフェルド
ファッションは現在進行形の人間が着るものであって美術館に展示されるものではない、という名言です。
シャネルやフェンディの天才デザイナーのこの言葉は、アーティストどころかクリエイターにさえなりきれないスタイリストの私に勇気を与えてくれました。
まだ私がフリーのアシスタントをしてた時、カール・ラガーフェルド氏が自身のブランドのファッションショーで来日し、そのショーのフィッターとして舞台裏に入った時のことを今でも鮮明に覚えています。
ステージ出のところで、最終チェックをする氏が、突然衣装にハサミを入れたり、アクセサリーチェンジを指示する姿は、今では私も同じようなことをするので珍しいことではないのですが、その頃の駆け出しアシスタントには驚きと感動でエキサイティングな光景でした。
黒い扇子に黒いサングラス、フランスらしい強い香りの香水でいかにも貴族的なルックスも奇才デザイナーの雰囲気を漂わせていました。
奇しくも、カールラガーフェルドがシャネルのデザイナーとなった1983年、私はフリーのスタイリストになりました。
そしてココシャネル没後、低迷していた「シャネル」を氏の才能で復活させたのです。
80年代から90年前代前半、バブルの恩恵を受けてパリに仕事やプライベートで頻繁に行くこと年間60日以上!
リュ カンボンのシャネル本店でシャネルスーツを始め、ワンピース、ニットにバッグや靴、全てのアイテムを買うため通い続けたものでした。
勿論シャネルが好きで買っていたのですが、他のハイブランドもギャラが消えるほど買っては着るということを繰り返しました。
大きな投資でしたが、肌で感じて着ることがそのブランドを理解し、スタイリストの一番の勉強と思いました。
そのことが血となり肉となり今のスタイリスト長友妙子を築いているのだと!
だからこそ、現在、パーソナルスタイリストとして自信を持ってハイブランドを臆することなくお勧めできることや、若くしてシャネルを着れた境遇にも感謝せずにはいられません。
自分史の中で多大な影響を受けた偉大なるデザイナー、
カール・ラガーフェルドに哀悼の意を表します。
写真は80年代後半、全身シャネルでエッフェル塔下にて!
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